モルタル外壁のクラックの原因考察
結城 伸太郎
1級建築施工管理技士&1級塗装技能士&1級防水技能士&2級タイル技能士(予定)の伸太郎です(笑)
昨今のモルタル塗り(通気工法)はこんな作業工程でやります。
外壁塗装は下地処理がすべて!この下地処理こそに技術と知識の差が生まれます。
本日はあいにくに天気ですが高圧洗浄からスタートの現場です。社長みずから施工する現場。
(人手が足りないよ。お手伝い&社員募集中です。)
まずは屋根から高圧洗浄です。山形の場合はほぼトタン屋根です。さらに写真の奥にあるようなスノーストッパーという雪止め器具がついてますね。それらを外す事からスタートします。
外壁はモルタルに吹付塗装されてる仕様です。
屋根、軒天、破風、雨樋の中までキッチリと洗います。
ついでに網戸と窓、サッシレール、基礎、駐車場まで洗えるところはすべて洗ってあげます^^これがサービス精神です。
さて、この家では一つ問題が発生しました。モルタル外壁の仕様なのですが、やたらとクラックが多いのと、モルタルの浮きが気になってました。なので思い切って斫ってみました。
カッターを入れて部分的に斫ってみると…
このようにモルタルが透湿シートから浮いています。浮いているというより躯体と密着してません。なんじゃこれは…。この場合以下の事が推測できます。
1.新築の施工時にラスのタッカー留めが少なかった。
2.モルタルの調合ミス(富調合過ぎた)によって収縮が激しい。
3.透湿シートではなく防水シートだった。(これは可能性としては低い)
4.雪の重みで外壁が変形した。
5.下地の貫材が暴れた。
こんなところでしょうか。いずれにせよ、このまま施工しても再度クラックが発生して塗膜が割れたら勿体ないので、すべて斫ってモルタルし直すことにしました。
外壁はガイナ仕上げなのでせっかくの高級仕上げが勿体ないですよね。いつまでも新築のような美しさでいてほしいものですから^^
撤去したモルタルを分析してみると…
「1」のタッカーの数が少ないは当然として、ラス自体も問題あり。基本モルタルで使うラスには力骨(りっこつ)と言ってラス網の所々に芯となる補強芯を入れます。
今回はそれが入っていないっぽいのと、ラスがかなり古いもの(笑) もはや金網と言えるような弱いラスでした。しかもそれにタッカーが少なく打ち込まれているから躯体との密着が弱いんだと思います。
「1」に加え、「4」の雪の変形の可能性もあり、外壁が沿ってしまったんだと思います。2階の大屋根には相当な量の雪が積もるでしょうからね。
とりあえずグダグダ考えても仕方ないんで、ほかの予測もすべて当てはまっている事を考慮した改修工法を立てちゃいます。
補足ですが、現在は↓のようなリブラスというのが主流です。力骨は最初から溶接されています。この太い部分をエアータッカーでバシュンバシュンと打ち込むのです。
弊社の左官工事は通気工法が多いので、ニッケンのダブルラスや富士川建材のリブラスで対応してます。しかも通気ラスというものです。施工は大変ですが山形では最強といえるモルタル工法でしょう!
このように力骨にエアータッカーを当てます。
ラスはこんな感じ。
通気ラスを全面施工後
ここから初めてモルタル塗りがスタートします。
昨今のモルタル塗り(通気工法)はこんな作業工程でやります。外壁塗装は下地処理がすべて!この下地処理こそに技術と知識の差が生まれます。
さぁ、この現場を悔いなく完了させるためにも、やる事を徹底していくぞ!ゆうき総業はいつも品質のブランドです(笑)