外壁・屋根塗装で行うケレン作業の種類や費用
結城 伸太郎
外壁・屋根塗装では塗装をする前に「ケレン作業」と呼ばれる作業が行われます。この作業は仕上がりに大きく関わる工程なので、どのようなことを行うのか知っておくことは大切です。
このページでは、ケレン作業の種類や費用、見積りに関する注意点などを紹介します。
ケレン作業とは
■ケレン作業とは
ケレンとは、元は英語でクリーン(clean)が訛った形で日本に入ってきたと言われています。おそらく日本人にはケレンと聞こえたのでしょう。そのままケレンという呼び名が定着したと思われます。意味は、「清掃」や「美装業務」です。
塗装で行われるケレン作業は、主に鉄部や木部に行われ、塗装面に残った古い塗膜を取り除いたり、錆などの不要な汚れを落とす目的があります。
また、塗装面を綺麗にするだけではなく、あえて表面を傷つけて密着性を高める「目粗し」と呼ばれる作業もケレンに含まれています。
車の板金塗装ではこれらを「足付け」と呼び、表面の目粗らしを入念に行い密着性を高め塗装を重ね塗りしていきます。
■ケレン作業の重要性
外壁や屋根の表面には、古い塗膜や錆やカビなどの汚れが付着しており、その上に塗装をしてもすぐに剥がれてしまいます。
ケレン作業はそのような汚れを取り除き、塗料の密着性を高める効果があり、さらに塗装後に凸凹ができないように表面を滑らかにする役割もあります。
ケレン作業が不十分の場合、2~3年で塗装が剥がれてくることもあるので、とても重要な作業です。
■ケレン作業を行うタイミング
一般的にケレン作業は高圧洗浄のあとに行い、高圧洗浄だけでは落とし切れなかった塗膜や汚れなどを取り除きます。
ケレン作業の種類
■1種ケレン(RA種)
劣化が激しく腐食が進んでいる場合に行われ、古い塗膜や錆などを完全に除去するケレン作業です。
橋梁の鉄部や鉄筋コンクリート造の外壁塗膜の完全除去する場合に行うケレンなので、一般住宅ではほとんど使用されません。
主にブラスト工法やウォータージェット工法呼ばれる機械で塗膜を落としていく方法が用いられます。
2種ケレン(RB種)
錆や脆弱塗膜が均等に広がり状態がひどい場合に行うケレン作業で、主に金属屋根や鉄部、木部の下地処理に用いられます。
薬剤を使わずにワイヤーブラシやディスクサンダーなどの電動工具を使い、電動工具で処理しきれない部分は手工具で古い塗膜や錆を除去します。
一般的には活膜は残す場合が多いです。ただし、活膜面もすべて目粗します。
3種ケレン(RC種)
最も一般的なケレン作業で、古い塗膜の剥がれやサビ、汚れなどが比較的少なく軽度な場合に行われます。
電動工具を使う場合もありますが、主にスクレパーや紙やすりなどの手工具で劣化している部分を辞去します。この時、活膜と呼ばれる劣化していない塗膜は残しておきます。
■4種ケレン
錆や汚れが少なく状態が良い場合に行うケレン作業で、電動工具は使わず、紙やすりやブラシなどを使って作業します。
ケレン作業の費用
ケレン作業は1種、2種など種別により価格が違いますが、一般的に屋根の錆が30%以上広がっているような屋根ですと2種ケレンとなり、サンダーなどの電動工具で塗膜を除去していきます。
「活膜は残し脆弱面は素地まで出す」のが2種ケレンなので結構手間のかかる作業となります。価格としては例えば金属屋根ですと500円程度が相場となります。
ちなみに1種ケレンは全ケレンなので全面素地まで出す必要があり、特殊な機械やウォータージェットと呼ばれる高圧洗浄機で剥がします。4,000円~/平米となります。
見積書について
通常、見積書には各工程について記載がありますが、ケレン作業は見積書に記載されていないこともあるので注意が必要です。
ケレン作業は見積書の中でも省かれやすい工程で、業者の中にはケレン作業を行わず、適正ではない順序で塗装をする悪徳業者もいます。
また、記載方法も「下地処理」や「素地調整」などと様々なので、その工程の中にケレン作業が含まれているのかを確認する必要があります。
まとめ
ケレン作業とは、電動工具や手工具を使い塗装面の古い塗膜や錆、汚れを除去する作業で、塗料の密着性を高める重要な工程になります。
ただ、仕上がりを左右する大事な工程にもかかわらず、業者の中にはきちんとケレン作業を行わない業者もいるので、見積書をしっかりと確認するようにしましょう。