専門職人から多能工職人へ|山形のゆうき総業
これまで建設工事は多くの専門職人が各ポジションを担って一つの建物を作ってきました。
塗装職人は塗装の工程を、防水職人は防水の工程を、それぞれが干渉する工程を綿密な打ち合わせの上進めてきました。
しかし近年は職人不足という状況と高齢化という状況が相まって、2~3種の工程を1社で賄うスタンスが生まれてきました。
それが多能工と言われる所以です。
実際弊社も多能工を実現させてきたのには理由があったのですが、現状のような形で捉えるようになったのは最近の話です。
弊社の活動エリアは山形県となり、冬は雪深く12月から3月までは塗装の仕事はほぼ出来ない地域です。
内装の塗装工事があれば稼働できますが、気温はマイナスとなり外部の塗装には最適な気温ではありません。
かと言って冬季間も雇用を続けなければなりませんので、仕事を作り必要がありました。
そんな時に活動を起こしてきたのが多能工性であり、当初は仕事を通年行うための策として技術を覚えてきました。
なので弊社としては多能工は生きる術だったわけです。
しかし時代とともにベテラン職人そのものが減りつつあり、それでも改修工事や新築工事が現状のまま稼働するとなると、工程においてはあてがう職人が居なくて止まってしまいます。
そんな事が何度も続き、生まれたのが多能工という言葉。
一人の職人が複数業種をこなすというものです。
弊社であれば塗装職人が、防水工事、左官工事など複数行います。
例えば鉄筋コンクリート5階建てビルの新築工事だったとすると、まずは上記3業種の中では屋上の防水工事が一番早い工程となります。
次に左官工事として外壁や内壁の下地作り、そしてその上に塗装工事で仕上げていきます。
このように塗装と左官、そして防水工事は現場内でかなり密接な関係があります。
外壁の塗装をするにも下地が命なわけで、左官の技術に寄ります。
例えばそれが現場内で左官職人が凸凹に仕上げたとしましょう。
塗装職人は何も知らず塗装をして仕上げました。
凸凹したまま足場がはがされ見た目はひどく汚く見えます。
さてこれは誰の責任なのでしょう。
しっかり検査をせずに足場を解体した監督の責任もありますが、結局凸凹に仕上げた左官屋、それを分かった上で塗装仕上げした塗装屋に責任がきます。
このように責任のなすりつけがよく起こりました。
もし左官と塗装が同じ会社の人間であれば、1社の責任ですし、そもそももっと慎重に作業したと思います。
このように塗装と左官は切っても切れない関係なので、一人の人間が熟練者となった方が圧倒的に現場の進行は早いですよね。
現在弊社では、1級塗装技能士を持つ人間が、1級防水技能士、1級左官技能士と、複数の1級を持つ者が増えてきました。
不可能を可能にしてきたといっても良いでしょう。
限界を超えたのです。
一人がこうやって超えてくるとあとは足並み揃えて付いてくるものです。
現在は塗装会社の弊社に、左官希望で入社する者も出てきており、左官学校へも毎年輩出させています。
塗装、防水、左官の3業種を一つの業種として、新たなフィールドを今努力しています。
多能工に頼むメリット:
工程短縮「塗装、防水、左官であればそれぞれの工程を待たず連携を取れる」
コスト削減「それぞれに掛かる経費や法定福利費を圧縮できる。例えば左官工と塗装工が相乗りで来る」
ホウレンソウ削減「業者間で言った言わないが発生せず密接な工程では勝手に進行されていく」
責任逃れの心配なし「防水下地の左官では防水工と左官工が、塗装下地の左官では防水工と左官工が、塗装と防水の取り合いや納まりの関係では塗装工と防水工が、それぞれお互いカバーしあえる。
品質管理「工程間隔やプロ目線で、それぞれの絶妙なタイミングで施工を行える」
管理の省略「例えば現場内における安全書類の作成、工程の写真管理、アップロード、報告書作成など1社のみで扱えるので書類作成がとても楽」→監督の生の声
などなどたくさんあります。
デメリット:
熟練者の育成「さすがに3業種の1級となるとかなりの経験が必要ですし、時間も根気もかかります」
拘束される「特に大規模改修現場においては、最初から最後までほぼつきっきりでその職人をあてがうので複数現場の施工が困難となります。
高賃金になりえる「職人の1日当たりの労働賃金は国で規定は出ているものの、3業種の1級ともなれば高賃金でないと割が合わないかもしれません」
一番はやはり3業種をしっかりプロ並みに習得するには時間が掛かるため、社内教育で大きな課題となるでしょう。
しかしそこをしっかりトレーニングし、若者を入社時から丁寧に育成すれば、30歳でとんでもない大物を育成する事も可能ですね。
なによりゆうき総業にはその教育システムと指導係が居る事が一番大きなメリットかもしれません。
今後さらに需要化される多能工育成。
今は代表が一般社団法人多能工協会を設立し、建設業界の多能工化を推進していく要的な団体となる事でしょう。
ワクワクが止まりませんね!