「雨漏りで泣く人をなくしたい」 東北の一防水職人が挑んだ、日本一への10年
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雨漏り調査で3度の全国1位、「殿堂入り」へ
山形県・福島県を拠点に雨漏り修理・外壁塗装・防水工事を手がける「雨ん防」は、全国の雨漏り修理専門業者が加盟する「一般社団法人雨もり119」において、2020年度・2022年度・2023年度の3度にわたりゴールド賞(全国1位)を受賞。その実績により、2025年に「殿堂入り」を果たしました。 東北の一地方企業が、なぜ全国のトップに立つことができたのか。「雨漏りで泣く人をなくしたい」という想いから始まった雨ん防の誕生、日本一になるまでの歩み、そしてこれからについて、代表・結城伸太郎に聞きました。
■ 雨ん防の誕生
ゆうき総業はもともと塗装・防水・左官など幅広い工事を手がけており、防水工事には特に自信を持っていました。その技術を生かし、別事業として「雨ん防」を立ち上げようと考えていた頃、転機が訪れます。結城が創設メンバーを務める塗装ボランティア団体「塗魂ペインターズ」に、全国組織「雨もり119」の創設者・品川会長が加入したのです。
Q. 「雨ん防」を立ち上げようと思ったのは、どんなきっかけがあったのですか?
結城: 「これだ、という気持ちで品川会長に雨もり119への加盟を志願しました。当時、東北には加盟店がなく、雪国も多い東北で雨漏りから人を救うNo.1になりたいと決意しました」
Q. 加盟前は、雨漏り修理についてどのように考えていましたか?
結城: 「品川会長と出会ったとき、衝撃がありました。なんて簡単に考えてしまっていたんだろうと悔やみましたね。当時、雨漏り修理の専門団体は全国に2つしかなかった。それくらい誰もやりたがらない、難しい仕事なんだと痛感しました」
ブランド名「雨ん防」は、水面を走る虫・アメンボウに由来します。当初はアメンボウそのものをキャラクターにする案もありましたが、デザイナーの提案で、消費者に親しみやすい坊やのようなキャラクターに変更。これが現在のマスコット「ポッチャン」の誕生秘話です。
Q. 立ち上げ当初、苦労したことや印象に残っているエピソードはありますか?
結城: 「嫌気がさしたのを覚えています(笑)。けれど何度も繰り返すうちに、どこを注意すべきかが分かり、報告書自体を起承転結でまとめ、より伝わりやすく作ることがブランド価値になるのだと腑に落ちました」
再現が困難な難解な現場では、品川会長が自ら東北まで足を運び、赤外線カメラの使い方や調査手法を指導したといいます。「100%解決」というキャッチコピーを掲げる以上、失敗は許されない。その緊張感は、今も雨漏り調査のたびに感じているといいます。
■ 日本一になった
2015年度、雨もり119でのブロンズ賞受賞を皮切りに、雨ん防の評判は着実に広がっていきました。
Q. 2015年、ブロンズ賞を受賞した時はどんな心境でしたか?
結城: 「自信がつき始めると、どんどん仕事が舞い込んできました。築2年ほどの家や、ハウスメーカー、工務店、ゼネコンからの依頼もあり、雨漏りは誰もが苦手で難しい仕事なんだと再認識しました。『やりたくない仕事=ビジネス』という意味を、深く理解できましたね」
案件をこなし、報告書を作り続けるうちに技術は磨かれ、2020年度、ついに全国1位となるゴールド賞を受賞しました。
Q. 2020年、初めてゴールド賞(全国1位)を受賞した時のことを覚えていますか?
結城: 「とてもうれしくて、すぐSNSでも発信しました(笑)。東北の山形という小さな市場にいる私たちがゴールドを取れるとは思っていませんでしたが、仲間と『いつかゴールド』という目標だけは持ち続けていました。案件獲得、調査方法、マニュアルの定着を積み重ねるうちに、知らないうちにレベルが上がっていたんだと思います」
そして、2020年度・2022年度・2023年度の3度にわたるゴールド賞受賞の実績により、2025年、全国の加盟店でも数少ない「殿堂入り」を達成。社内は喜びに包まれましたが、そこには意外な葛藤もありました。
Q. 2025年、3度目のゴールド賞受賞で殿堂入りを果たした時、社内の反応はいかがでしたか?
結城: 「殿堂入りとなると、目標を失ってしまう怖さもありました。実際、その通りになって、雨もり119のグループルームでの発信を控えてしまったんです。しかし、そういう凡事ができなくなることは怠惰であり、意識の低下にもつながる。これじゃダメだと思い、再び投稿を続けるように改善しました。人に見られているという緊張感や刺激は、人間にとって大切だと思います」
■ なぜ日本一になれたのか
Q. 全国に多くの加盟店がある中で、雨ん防が結果を出し続けられた理由は何だと思いますか?
結城: 「何事も、共通の理念や目標がないと組織はうまくいきません。仲間との意識が一体化したとき、人間は一番実力を発揮すると思います。当社は営業マンが自ら調査を行う文化で、現在は調査要員が6名ほどいます。全員が高い意識を共有し、人の役に立とうという理念が成果につながったのだと思います」
Q. 赤外線調査など科学的な手法にこだわる理由を教えてください。
結城: 「赤外線カメラは、お客様から伺った症状と一致する形で雨漏りを再現するために欠かせない道具です。特に有効なのは非破壊で検査できる点、そして最小限の水で確認できる点。多くの水を使って再現しようとすれば、かえって家屋を傷めてしまいますから」
Q. スタッフの育成で大切にしていることはありますか?
結城: 「まず、失敗を恐れないこと。誰でも最初は失敗します。悩む余地がないほどサポートしてしまうと、技術は向上しません。なぜ失敗したのか、なぜ再現できないのかを自分で考えることで、技術は自然に伸びていく。自分で手に入れた技術は忘れませんし、自信にもつながります。営業も職人も、大切なのは自信をつけることだと思っています」
■ これから日本のために
Q. 今後、雨ん防を通じてどんな社会貢献をしていきたいですか?
結城: 「大切な資産であり、家族が安心できる場である『家』に被害があっては、安心して暮らせません。雨漏りはストレスであり、解決して涙を流して喜ばれるお客様もいらっしゃいます。社会貢献というより、『人のストレス』から解放してあげる技術だと思っています。ストレスのない安心な心境になれば、人は自然と社会貢献にも目を向けられる余裕が出てくる。結果的に、それが社会貢献につながっていくのかもしれません」
Q. 世界的にも雨漏りに悩む国は多いと聞きます。今後の展望を教えてください。
結城: 「『世界中から雨漏りを無くす』をテーマに活動を続けていきたい。海外では日本のようにすぐ業者が対応してくれず、2〜3年放っておかれることも珍しくないと聞きます。それを雨ん防が解決していけたら最高ですね。いつか雨ん防が世界中に点在する未来も描いています」
Q. 山形・福島・宮城の地域、そして日本全体に向けてメッセージがあれば教えてください。
結城: 「東北・山形の本社がゴールド賞を取れたのは、社員のスキル、意識、技術力の高さの証明です。素晴らしい社員に恵まれました。今後は山形・福島・宮城で地域No.1の雨漏り解決業者になりたいと思っています。雨漏りは住宅だけでなく、ビルやマンション、テナント、ホテル、工場などあらゆる建物で起こります。私たちはただの塗装屋ではなく、多能工のスキルが強み。『建物延命事業』という新しい挑戦で、日本中にスキルを共有し、全国に支店を作り、いつかは世界へ――。自然とは今後も100年、200年付き合っていくことになります。奢らず学び続け、生涯高い意識を持ち続ける会社でありたいと思います」







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