クリヤー塗装の特徴と価格
結城 伸太郎
レンガ調や石調の外壁は、クリヤー塗料を行うことによって、そのままのデザインを残すことができます。但し、クリヤー塗料が行える条件があります。
このページでは、クリヤー塗料のメリットや注意点、施工方法や価格について紹介しています。
クリヤー塗料とは
クリヤー塗料は、色の元である顔料を含まない透明の塗料です。透明なので、外壁材の模様やデザイン、色をそのまま残して、保護することが出来ます。
主に、レンガ調や石調のサイディングで採用することが多く、打ちっぱなしのコンクリートやモルタル、ウッドデッキや窓枠などの木材に使用する場合もあります。
クリヤー塗料を使うメリットは以下の通りです。
■外壁のデザインを残せる
透明な塗料のため、外壁材に模様やデザインがあった場合でも、そのままの見た目を残して保護することができます。色付きの塗料で塗装を行った場合は、デザインを塗り潰して単色での仕上がりになります。
■外壁の保護ができる
透明であっても、親水性やUVカットなど色付きの塗料と同等の保護効果があります。
■艶ありと艶消しがある
クリヤー塗料は、艶ありと3分艶、つや消しを選ぶことができます。艶ありはや汚れが付着しずらく耐久性があり、3分艶は少し控えめな光沢があります。艶消しは、一部の塗料で採用されており、落ち着いた雰囲気を出すことができます。
■チョーキングが発生しない
チョーキングとは、経年劣化によって塗膜表面に白い粉が付く現象で、顔料が塗膜の表面に現れたものです。クリヤー塗料は、顔料が含まれていないため、チョーキングが発生しません。
クリヤー塗料を使う場合の注意点
■劣化が激しい場合はクリヤー塗装はできない
クリヤー塗料は、チョーキングが発生している場合は、施工が出来ません。チョーキングが発生している外壁材に塗装を行った場合は、チョーキングの白い粉が見える状態になり、白くぼけた塗膜になります。
チョーキングの発生は、新築から10年前後が目安で、クリヤー塗料の施工が行える目安も同じ年数です。
また、ヒビ割れがある場合は、施工をオススメしません。クリヤー塗料はヒビ割れを補修する事ができないので、補修を行ってから塗装をする必要がありますが、補修跡がそのまま見える状態になるので、美観が悪くなります。
■クリヤー塗装が難しいサイディングがある
光触媒・無機・フッ素等でコーティングされているサイディングは、クリヤー塗装での施工が難しいです。
これらの塗料が施されている場合は、クリアー塗料が剥がれる可能性があります。但し、日本ペイントのファインパーフェクトシーラーを下塗りに使用した場合は、クリヤー塗装が可能です。
クリヤー塗料の施工方法
■クリヤー塗料は2回塗り
一般的な塗料は、下塗材を塗ってから塗料を2回塗るため、3回塗りの工程です。クリヤー塗料は、下塗りを行わないため、2回塗りで、一般的な塗料よりも工程が少ないため、施工期間が短くなります。
■コーキング部分の塗装
クリヤー塗料で施工を行う場合は、コーキングは後打ちを行います。
コーキングの上にクリヤー塗料を施工すると、白濁やヒビ割れが起こる可能性があります。塗料メーカーも後打ちを推奨しています。
クリヤー塗料の価格
■アロンクリアウォール(東亜合成)
アロンクリアウォールは、タイル外壁用クリヤー塗料の1つです。シリコン系の塗料で、耐久年数が10年~12年程度、施工単価は、4,000円前後が相場です。高い防水性も付与できメーカーから防水機能に10年保証が出せます。
艶もタイルの景観を損なわないフラットな光沢で、新築同然に生まれ変わります。ビルやマンションのタイル修繕時に威力を発揮します。
■パワーアシストクリアー
水谷ペイント株式会社のパワーアシストクリヤーは、主に窯業系サイディングの塗り替えで使用でき、紫外線遮断効果、熱や酸性雨への耐久性に優れた塗料です。(耐久年数15年:施工単価2,200円~2,800円前後が相場です。
また、同塗料のフッ素系で、パワーアシストクリアーFも販売されています。こちらの耐久年数は12年~15年程度、施工単価は、2,800円~3,000円前後が相場です。
コスパも良いのでタイル調サイディングやデザインサイディングの意匠性を損なわない塗り替えとしてご提案しています。
まとめ
意匠性が高い外壁材の場合は、クリヤー塗料での施工がオススメです。但し、チョーキング現象が起こっている場合は、施工が出来ません。
チョーキングが発生する目安は新築から10年程度ですが、立地条件などによって変わるので、クリヤー塗料での施工を検討される場合は、早めに建物の診断を行うことをオススメします。