エクステリアについて
結城 俊輔
「エクステリア」とは、「インテリア」の反対・・・つまり、住宅、道路、標識や自然環境など、人間が外に出て、眼を開いたときに飛び込んでくるすべての「景観」の事を指します。
エクステリアの色彩に要求されるのは、外での生活を安全なものにする事は勿論、多くの人々に共感を持たれる配色を施すなどして、美しく魅力ある空間づくりや街づくりを行うことです。
その為には大きく2つの考え方が必要とされます。
1.目的や用途に応じた色彩であること
人々の行動を安全で分かりやすく、使い勝手のよい快適なものとする為、遠くからでも見えやすく配色される標識や踏み切り、階段等は段差が歩行者に判りやすい様な配色が施されています。
2.周りの環境との調和を考えた色彩であること
私達が外に出て、眼に映るのは1つの建物だけではありません。周囲の町並み、空の色など大きな視野を持って見通しているのが普通です。そこでの主役は個々の建物ではなく、“通り”であり、それ等を含んだ町の“景観”であると言えます。
まとまり感のある環境をつくるには、周りの環境と調和した色彩を考える事が必要なのです。
以上の事を受け、近年日本でも町並みや建築物に、ほぼ同じ造り、同じ色彩を用いた町づくりをしている地域が増えています。
個性の時代とはいえ、やはり統一された景観というのは美しいものです。
用途に合わせた配色計画
総合的な“町づくり”における「エクステリア」の意味をご理解頂いた後は、いよいよ各施設、建築物の「用途に合わせたエクステリアのカラープラン」についてです。
配色の方針を“「統一」を主体とするもの”、”「変化」を主体とするもの”、“「統一と変化の中間」を主体とするもの”の3つに分けて、それぞれについて考えていきましょう。
1.統一を主体とするものについて
淡い色合いをベースにした同系色配色は、公共施設(官公庁や公民館など)の配色の基本となります。 公共的な建築物は、老若男女問わず全ての町の人々に対応する必要がある上に、長い間見続ける事による“飽き”や
“不快感”を避けるため遊びの要素を排除した、落ち着きのある“統一性”を主とした配色で考えます。更には、清潔感や安心感、親密感をアピールする為に、自然の色や明るく優しいイメージがある色を用いた配色が好ましいと言えるでしょう。
2.統一と変化の中間を主体とするものについて
多様な色彩は、見る側に元気で明るいイメージを与えるため、レジャー施設や商業施設の配色の基本となります。
大衆をターゲットにしたものから専門店まで幅広く様々な業種が存在しますが、いずれの場合も色彩が果たす役割は「魅力を持って人を集める」こととなります。
好例は遊園地で、鮮やかな色彩が町全体のアクセントとなり、楽しさや賑わいを作り出して町を活気づけています。その他にも、劇場や夜の娯楽施設などは、休息を目的とする施設とは異なり、変化を主体とする配色が用いられています。
また、子供の元気や活発さを印象付けるため、保育園や公園等でも多色配色が見受けられます。印象的で記憶性のよい配色にするため、アクセントカラーは鮮やかにして、ベースカラーとのコントラストを強く打ち出してみましょう。
3.統一と変化の中間を主体とするものについ
最も需要が高い、住宅用の配色です。
ここでは、一般住宅の他に、集合住宅(アパート・マンション)についてもふれてみたいと思います。ここでは、建物の個性を示しつつも周辺環境に合った、バランス配色が基本となります。
個人一般住宅の意匠は、住人の個性や趣味に影響される事が多く、創造性が発揮される場でもあります。しかし、色彩に関しては、かつての日本住宅が自然素材のみで造られていた歴史と、そこで長期にわたって生活すると言う永続性から考え、あまり変化の強くない、落ち着きのある色を用いるのが普遍的です。
外壁は勿論、屋根、塀なども町を構成する一部として、周辺環境と調和する、協調性のある色が好まれます。集合住宅の場合は、個人を対象とする一般住宅とは異なり、様々な人々、住民の意思が共通に反映される様にするため、特に統一と変化のバランスに気を付けなければなりません。
具体的には、ベースカラーには飽きのこない明るい色(茶色やベージュ)を使います。この時、建物の規模が大きくなるほど、アイボリー等の明るく“色味”の程度が弱いものを用いてみるのがよいでしょう。
サブカラーには、ベースカラーと同系色で、多少明るさを落とした色を用いて安定感を出します。アクセントカラーは部分使いとし、強めの色を使って個性を打ち出してみましょう。(窓からのぞくカーテン等)