トタン屋根の特徴と塗装料金
結城 伸太郎
屋根は常に直射日光や雨風を受けているため、必ず定期的なメンテナンスが必要になります。
メンテナンスをする際は、屋根材の種類によって費用や工事内容も異なるので、それぞれの材質についてしておくとも大切です。
このページでは、トタン屋根の特徴やメンテナンス費用などについて紹介します。
トタン屋根の特徴
トタン屋根は金属屋根の一種で、正式名称は「亜鉛メッキ鋼板葺き」と言い、銅板に亜鉛をメッキした屋根材になります。現在の戸建てや工場も含め多くの屋根材として使用されています。
■メリット
トタン屋根は、重さが日本瓦の1/10と軽量のため、建物への負担が少なく耐震性に優れている屋根材です。
継ぎ目が少なく雨漏りしにくいメリットもあるので、緩い傾斜でも施工が可能になり、雪国では雪解け水による雨漏りを防ぐこともできます。また、雪の滑走もよく積もらないので雪国でも多く採用されています。
材料費・施工費も安く工期も短いため、コストを抑えたい方にはオススメです。ランニングコストも安い利点があります。
■デメリット
生活するうえで最も気になるデメリットは、耐熱性が低い点が挙げられます。夏場は屋根が高温になるため、室内の温度も上がってしまいとても暑いです。
さらに、防音性と耐久性も低いので、雨の音が響いたり、一度サビが発生すると急速に広がってしまうこともあります。重量が軽いため台風で飛ばされるケースもあります。
トタンとガルバリウム、ブリキの違い
トタン、ガルバリウム、ブリキはいずれも銅板にめっきをした金属屋根で、現在はガルバリウムが主流となっています。
それぞれの違いはめっきの成分で、トタンはほぼ亜鉛でできており、耐用年数は8~10年ほどになります。
次にガルバリウムは、亜鉛のほかにアルミニウムや珪素が含まれており、耐用年数は20年以上と3つの中で最も優れた耐久性を持っています。
最後にブリキはスズからできており、サビが発生しやすいので、現在は外壁屋根に使用されることは少なく、缶詰の容器によく用いられています。
トタン屋根の劣化症状
■変色、チョーキング
変色や白い粉がつくチョーキングと呼ばれる現象が起きている場合は、塗膜が紫外線や雨風を受けて劣化しているサインです。
急いでメンテナンスする必要はありませんが、塗膜が劣化すると建物を保護する機能も低下しますので、塗装を検討し始める時期と考えておきましょう。
■膨れ、剥がれ
膨れや剥がれが発生している場合は、塗膜の劣化が進み、屋根を保護する機能が失われている状態なので早めの対処が必要です。
原因としては、塗装時の下地調整の不足や熱によって収縮して、膨れや剥がれを起こしてしまうことが考えられます。
ただし一度塗り替えした経験がないと上記のような症状は出ないと言ってよいでしょう。
■サビ
トタン屋根は傷や劣化でめっきが剥がれるとサビが発生してしまい、その部分から一気にサビが広がってしまう特徴があります。
進行すると腐食が広がって穴が開いてしまうこともあるので、早急にメンテナンスする必要があります。
トタン屋根の塗装工程
1.高圧洗浄
高圧洗浄機で十分に汚れやチョーキングを洗い流します。
2.下地補修(出釘やシーリング)
雪止め金具の調整や釘を打ち直します。穴などはステンレスシールなどで塞ぎます。
3.ケレン
酷い錆はサンダーケレンで除去しますが、マジックロンと呼ばれるタワシのような道具でケレンする時もあります。
4.錆止め
エポキシ系錆止めや長期暴露型のウレタン系錆止めなどがあります。
5.上塗り
アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機とほぼすべての樹脂で販売されています。上塗りには遮熱塗料もラインナップされています。
トタン屋根の塗装料金
■オススメの塗料グレードはシリコン
特に雪国では長期の耐久性は見込めないので、コストパフォーマンスに優れたアクリルシリコン樹脂で塗り替えるのが一般的です。高級な塗料で塗装しても雪の降雪量で耐久年数が左右されるからです。
■30坪戸建の施工料金の相場
30坪の建物ですと寄棟計上の屋根で120平米程度ですが、上記の工程で塗装したとして約15万円ほどとなります。
カバー工法と葺き替え
トタン屋根のメンテナンス方法としては、塗り替えのほかに「カバー工法」と「葺き替え」という方法があります。
この2つの方法は、劣化が激しく塗装だけでは対応できない場合に行われ、一般的にガルバリウム鋼板を使用することが多いです。
■カバー工法
カバー工法とは、既存の屋根材の上から新しい屋根材を被せる方法で、屋根の撤去費用がかからないため、葺き替えよりも費用を抑えることができます。
デメリットとしては、屋根材が2枚重なった状態になるので屋根が重くなってしまい、耐震性が低下する可能性がある点です。
費用的には1平米で5,000円~6,000円ほどですが、別途荷揚げ損料や足場、解体物の処分費も掛かります。30坪の屋根を全面カバー工法で施工した約80万円かかります。塗装工事の4~5倍です。
■葺き替え
葺き替えは既存の屋根材を撤去して、新しい屋根材を施工する方法で、劣化が激しく屋根材の状態が悪い場合は葺き替えが有効です。ただ、工期が長く、屋根材の撤去費用もかかるので、現在はカバー工法を行うことが多いです。
トタン屋根の葺き方はいくつかありますが、一般的に行われているのは「瓦棒葺き」と「横長尺」と呼ばれる工法で、傾斜の流れに沿って金属板を被せて施工します。その他にも「一文字葺き」と呼ばれる工法もあり、金属板を水平方向に一直線になるよう施工していきます。
費用的にはカバー工法よりも手間が掛かるため高額となり、また解体費もかかります。
まとめ
トタン屋根は軽量で雨漏りしにくいため、雪国ではよく使用されていますが、耐熱性や防音性が低く、サビが発生しやすいというデメリットもあります。
メンテナンス方法も劣化状況によって変わるので、日ごろから屋根の状態を確認して、適正なタイミングでメンテナンスを行うようにしましょう。