スレート、コロニアル屋根の特徴と塗装料金
結城 伸太郎
一般住宅で使用されている屋根材にはいくつかの種類があり、施工方法やメンテナンス費用などもそれぞれ異なります。
そのため、新築時やメンテナンスする時は、屋根材について知っておくことはとても大切です。このページでは、スレート屋根の特徴や費用などについて紹介します。
スレートとは
スレートとは、厚さ5㎜ほどの薄い板状の屋根材のことで、「天然スレート」と「化粧スレート」の2種類あります。天然鉱物を加工している天然スレートは、価格が高いため国内ではあまり使用されておらず、一般的にスレートとは化粧スレートのことを指します。
スレートの特徴
化粧スレートは、セメントと繊維材料を混ぜ合わせ、薄い板状に加工した屋根材で、人造スレートとも呼ばれています。
また、「カラーベスト」や「コロニアル」と呼ばれることもありますが、これはスレートの商品名です。
■メリット
メリットは薄くて軽量な屋根材のため、建物への負担が少なく耐震性に優れているという点です。さらに、色のバリエーションも豊富なので、色々なデザインの建物にも合わせることができます。
スレートは普及率が高いため施工できる業者が多く、費用も安いためコストを抑えて施工できます。
■デメリット
スレートの耐用年数は、約15~20年と他の屋根材に比べて耐久性が低いため、メンテナンスを行う回数が多くなってしまいます。
また、防水性も低く、コケやカビが発生したり、ひび割れや反りなどが起こりやすいというデメリットもあります。トタンよりも塗装回数が多くなり塗り替えコストも高く、割れた場合のメンテナンスが厄介です。
スレートの劣化症状
■スレートのズレや割れ
ズレや割れは防水性が失われているサインで、雨や雪などの水分を含んだスレートが太陽光で急激に乾燥され、その状態が繰り返されることによって発生します。
放置するとひび割れた部分から雨水が建物内部へ浸入し、雨漏りの原因にもなるので、早めに対処する必要があります。
■色あせ
色あせは塗膜が紫外線や雨風を受けることによって発生し、スレートを保護する機能が低下している状態になります。
■塗膜の剥がれ
剥がれは塗膜の機能が完全に失われている状態なので、早めに塗り替えが必要になります。放置すると屋根材自体が劣化したり、雨漏りが発生する恐れもあります。
■コケや藻の発生
コケやカビは防水効果が低下しているサインで、特に日当たりの悪い北側の屋根は発生しやすいです。
症状が軽ければ高圧洗浄で綺麗にすることもできますが、前述の通りコケやカビの発生は防水効果が失われている状態なので、塗装をして防水性を高める必要があります。
スレートの塗装
スレートの塗り替えのタイミングは10年前後で、定期的にメンテナンスを行う必要があります。塗膜がない状態になると防水性が失われ、雨漏りの原因にもなるので注意しましょう。
■塗装料金
塗料によって単価が変わりますが、1平米あたり1,800円~2,400円です。一般的な30坪戸建のだと120平米として約25万円です。
■スレートの修理と補修
・スレートのズレや割れは修理や交換が必要
小さな割れは補修したりもできますが、基本的には交換扱いとなります。
・1枚あたりの修理交換費用
一式工事となり3~10万円かかるが塗装工事のついでなら簡単に補修してくれる場合もある。
・棟板金の補修費用
築10年前後で、棟板金の補修が必要になることが多く、家の大きさにもよるが10万前後です。
■塗装工程
・下地補修
クラックや割れなどを補修する。雪止めも曲がりも補修。
・高圧洗浄
苔をしっかりと洗い流すように洗浄を行う。
・下塗り
浸透性が良いカチオン系プライマーやエポキシ系プライマーで下塗りする。
・上塗り
アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機など豊富な樹脂塗料から選択できます。アクリルやウレタンは雪国では使われない事が多いので耐候性を重視し高級な塗料で仕上げることが多いです。
・縁切りが必要
塗装後に瓦と瓦がくっついてしまい雨漏りの原因となるため、塗装した面は全箇所縁切りが必要となります(トタン屋根にはこれは不要)。またタスペーサーと呼ばれる空間を造る部材の挿入もある。
スレートのカバー工法と葺き替え
スレートの「カバー工法」と「葺き替え」は20~30年が目安で、劣化が激しく塗装だけでは対応できない時に行います。
カバー工法とは、既存の屋根材の上から新しい屋根材を被せる方法で、葺き替えは既存の屋根材を撤去して、新しい屋根材を施工する方法になります。
最近はスレート屋根にトタン屋根にカバールーフする工事も増えつつある。
■カバー工法の費用
カバー工法の費用相場:30坪で60万~80万
■葺き替えの費用
葺き替えの費用相場:30坪で80万~100万
■2004年以前のスレートはアスベストに注意
1960年代~2004年までに施工されたスレートは、アスベストが含まれている石綿スレートを使用しているため注意が必要です。ひび割れや滑落によってアスベストが飛散し、健康被害が出る恐れがあります。
メンテナンスする際、カバー工法の場合はアスベストの解体処分費はかかりませんが、葺き替えや家を取り壊す場合は解体処分費がかかります。
2004年以降の施工されたスレートは、無石綿スレートと呼ばれる人工繊維や天然繊維が含まれているものを使用しているため、アスベストは含まれていません。
まとめ
スレートは一般的によく使用されている屋根材で、薄くて軽量のため耐震性にも優れている特徴があり、さらに施工費用も安いメリットがあります。
ただし、耐久性は他の屋根材に比べて劣るので、劣化状況などを確認しながら、定期的にメンテナンスするようにしましょう。