屋根塗装で行う縁切り・タスペーサーの価格や単価
結城 伸太郎
屋根塗装にはいくつかの工程がありますが、スレート屋根やコロニアル屋根の場合には、縁切り・タスペーサーという作業が必要になる場合があります。
山形県は99%板金屋根ですので、この作業は必要ありませんが、縁切り・タスペーサーがどのような作業なのか、工法や費用について紹介します。
縁切りとは
屋根材には様々な種類がありますが、スレート屋根やコロニアル屋根などは、板が1枚1枚重なり合ってできているため、繋ぎ目の部分には隙間が生じています。
実はこの隙間には、雨水を排水する際に重要な役割があるのですが、塗装をすると塗料によって隙間が塞がってしまいます。そこで、塞がってしまった部分に隙間を造る作業を「縁切り」と言いいます。
山形県は、99%が板金屋根なので、この作業は必要としません。他に、縁切りが必要ないケースは以下の通りです。
【1つ目】新築後の塗り替えが初めての場合
まず1つ目は、新築後の塗り替えが初めての場合です。塗装を繰り返すと屋根材に厚みが出るので隙間も狭くなりますが、初めての塗り替えをする屋根は隙間が十分あり、塗装をしても塞がることがないため縁切りはしません。
【2つ目】屋根が急勾配の場合
次に屋根が急勾配の場合です。5寸以上の勾配がある屋根は水が流れやすいので、縁切りをしなくても水が溜まる心配がありません。
【3つ目】吹き付けで塗装する場合
最後に吹き付けの場合です。塗装の方法には、吹き付け塗装とローラー塗装があり、吹き付けは塗膜が薄く仕上がるので隙間が埋まることはありません。
縁切りをしないと雨漏りの原因になる?
屋根材の隙間には、雨水が内部に溜まらないように外に流す役割があるため、もし隙間が狭くなると水分を外へ流すことが出来なくなり、屋根に水分が溜まってしまいます。
これは「毛細管現象」と呼ばれる、狭いところに水が吸い寄せられる現象が原因で、例えば飲み物にストローをさしたときに、ストロー内部の飲み物が上がってくることがありますが、これも毛細管現象によって狭いストローに水分が引き寄せられている状態になります。
上記のようなことが建物内部でも起こると、水分は重力に逆らって屋根に吸い寄せられ、いずれ溜まった水分により建物が腐食して雨漏りが発生しています。
縁切りの工法は2種類
■従来の縁切り工法
縁切り工法とは、上塗り後にカッターナイフや皮スキと呼ばれる専用の道具を使い、塞がっている部分の塗膜を切っていく方法になります。
ただ、この方法では塗装した後に屋根に登って作業するので、屋根が汚れてしまったり傷つけてしまう可能性があります。
さらに一般住宅の場合、2人で作業したとしても時間が丸一日かかるので、現在ではあまり行われません。
■タスペーサー工法
タスペーサー工法とは、下塗り後にタスペーサーと呼ばれる部材を屋根材の繋ぎ目に差し込み、隙間を確保する方法です。
縁切り工法とは違い、あらかじめ隙間を作っておく方法なので、上塗り後に屋根に登って屋根を傷つける心配もありません。
また、カッターなどで切る手間もかからずに、1人でも2~3時間ほどで終わらせることできるため。現在ではタスペーサー工法が主流となっています。
縁切りの費用
1平米あたり300円程度となります(1平米に10個程度)。見積書では、屋根塗装の金額に加算されています。
まとめ
縁切り・タスペーサーは、塗料によって屋根材の隙間が埋まらないようにする作業で、きちんと行われていないと雨漏りが発生してしまう原因にもなります。
ただ、業者の中には縁切りが必要な状態にもかかわらず、縁切りをせずに手抜き工事を行う悪徳業者もいるので、必ず見積内容を確認して信頼できる業者に依頼するようにしましょう。
山形県は99%板金屋根ですので、この作業は必要ありません。