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旅館|屋上アクリルゴム塗膜防水の事例

旅館の別館屋上です。長い間使われていないような建物でしたが、新たにリニューアルをするらしく当店にて防水工事を施工させていただくことになりました。

施工前後の写真

施工前
施工前
施工前から施工後
施工後
施工後
建物種別 店舗
仕様書
■屋上面積
202㎡(立ち上がり共)

■工法
アクリルゴム防水脱気工法

■使用材料
2成分反応形アクリルゴム防水材:アクリテックス(東亞合成)

■脱気筒
ステンレス脱気筒:ダモ製

他にもアクリルゴム防水材として”マイルーファー”という製品もあり、こちらはオール水性型のエコマーク商品です。(三菱産資)
ちょっと難しい質問と回答
Q:防水材はたくさんあるけど違いは何?

A:防水材はアクリルゴムを始め、ウレタン防水、FRP防水、シート系防水(塩ビシート・加流ゴムシート)、アスファルト防水等があります。

種類によって使い分けられており、改修ではオーバーレイ工法、つまり既存下地に被せる工法が多いです。オーバーレイでは塗膜系防水が殆どです。この塗膜防水を指しているのが、アクリルゴムとウレタン防水になります。

新築ではアスファルトや塩ビシート、FRPが多いですね。住宅のベランダの殆どはコンパネ下地から処理可能なFRP防水が主流です。ただFRPの欠点はアセトンを使うので、溶剤臭が多い事、ガラスマットの小さい粒子が飛び散ることです。それと火災事故の殆どはこのFRP防水の施工ミスです。

シート防水はわりとコスト面で安く仕上がりますが、施工が悪いとあちこち浮いてきます。アスファルトはかなり耐久性がいいですが、価格面では高いほうです。改修では使えないので、主にRC造の新築向きです。マンションやビルに多いです。

屋上の改修でよく使われる塗膜防水は安いだけでなく、わりと重量が軽く収まるのと、産廃が出ない点で非常に有利です。重くならないって事は地震等での負荷も少ないって事ですね。

とりあえず建物の躯体を守っている塗装や防水は、メンテナンスとしては非常に重要で長持ちさせる一番の防御策です。お金はかかりますが、予算や工法を良く考えてくれる業者さんもたくさんいるので、相談しながら工事を進めていくことが大事です。

そして、施主様自身も工事内容を把握し、一緒に考えながら進め、失敗のない工事が出来ればいいなと思っています。他の現場の防水工事写真も随時アップしていきたいと思っていますのでご期待ください。

写真ギャラリー

  • 施工前01
    施工前01

    各部に浮きや破れがあったので脆弱の部分を撤去していきます。

  • 施工前02
    施工前02

    既存塗膜はゴムシート防水でしたのでカッターで切りながら撤去します。

  • 脆弱の部分の撤去作業中01
    脆弱の部分の撤去作業中01

    切っていくにつれあちこち浮いていることが判明し、結局半分以上撤去することとなりました。一箇所剥がれると連鎖のごとくべりべり剥がれていき、もはや防水効果は全くない状態でした。

  • 脆弱の部分の撤去作業中01
    脆弱の部分の撤去作業中01

    RC躯体にはいくつもクラックがあり漏水している可能性があると見て下の階に降りチェックしてみるとやはり漏水してました。長い間雨風を防いでくれていたのですが、さすがの防水材も老朽化には勝てないようです。

  • 高圧洗浄中01
    高圧洗浄中01

    撤去後全体を高圧洗浄機で洗います。本当はクラックの補修を完了させてから洗いたい所でしたが、あまりの汚れとコケでシーリングが密着不良となる可能性を考え、先行して洗浄作業へと移りました。

  • 高圧洗浄中02
    高圧洗浄中02

    洗浄後は躯体コンクリートを乾燥させるため1~2日程乾燥養生を取ります。ここの工事時期は真夏だったので、1日乾燥で十分と判断しました。

  • クラックUカット後のブロワ清掃
    クラックUカット後のブロワ清掃

    次にクラックの補修です。クラック(ひび)は一旦Uカット処理後ウレタン系のシーリングで補修します。UカットとはUカッターと呼ばれるサンダーの刃でクラックに沿って1cm程度削っていく作業です。(幅1.5cm×深さ1.5cm位)

  • クラック補修部分のカチオン処理後
    クラック補修部分のカチオン処理後

    ウレタンシーリング充填後カチオンセメントと呼ばれる密着力の強いモルタルで段差を補修していきます。シーリング材は乾燥と共に痩せていくので必ずしなければならない工程です。ここまでが下地処理の工程となります。下地の状態が良ければ手間を掛けなくて済むし、同時にコストも抑えられます。が、改修時期となった屋上の下地は大概かなり老朽化がすすでいるものです。下地処理は暗黙の了解といったところでしょうか…。

  • プライマーを塗布
    プライマーを塗布

    まずは全体にプライマーを塗布。プライマーは躯体との接着力を上げるための下塗り材です。状態によっては2回位塗ってもOKです。プライマーを全面に塗った後脱気シートの貼り付けを行います。

  • 脱気シート貼り付け中
    脱気シート貼り付け中

    今回は改修ですので、脱気工法という施工となります。脱気シートの貼り付けは専用のボンドを塗 布しながらシートを貼っていきます。写真右のように一人が塗り手に回り、もう一人が貼り手として進めていくと効率が良いです。

  • 脱気シート貼り付け中
    脱気シート貼り付け中

    脱気シートとは名の通り躯体の蒸気を逃がす透湿シートです。下の階からの水蒸気や空気を逃がし、防水材の膨れを防止します。

  • 脱気シートの目地処理
    脱気シートの目地処理

    脱気シートを平場全面に貼り付けた後、ジョイント部(シートの端末部)を専用メッシュと防水材を用いて貼っていきます。

  • 防水材塗布中
    防水材塗布中

    目地処理が終わったら防水材の下塗りへ。防水用の主剤は2回に分けて塗りつけます。そうすることで規定の膜厚を確保できます。膜厚が少ないとすぐ破断してしまうし、1回で厚付けするとヒビ割れを起こすので、出来る限り規定量を維持して塗っていきます。主剤は固めでドロドロの材料なのでローラーではなくコテで塗るのが一般的です。今回はアクリルゴム防水ですが、ウレタン塗膜防水でも同じくコテで塗るのが主流です。

  • 脱気筒設置
    脱気筒設置

    このステンレス製の筒が脱気筒です。蒸気や空気は上に逃げようとするので、屋上勾配の高い場所に設置します。理論上、蒸気や空気を逃がすための装置の役割です。

  • クロスメッシュ貼り付け中01
    クロスメッシュ貼り付け中01

    立ち上がり面や役物も下塗りしていきます。床の平場よりも先に塗りつけます。同じように2回塗りますが、脱気シートは貼る必要がありません。そのかわりクロスメッシュと呼ばれる布をサンドイッチしながら塗りつけます。

  • クロスメッシュ貼り付け中02
    クロスメッシュ貼り付け中02

    こうすることで塗膜をより強化させ破断しにくくします。(今回の役物はフェンスの架台でした。)ですので、実質役物や立ち上がりは3回塗りの手間になってしまいます。

  • 防水材2回塗布完了
    防水材2回塗布完了

    この段階で雨が降っても完全に防水されています。

  • トップコート1回目01
    トップコート1回目01

    次はトップコートという仕上げ材を塗っていきます。

  • トップコート1回目02
    トップコート1回目02

    これは外壁や屋根と同じく紫外線による劣化を防ぐ重要な役割をしています。防水材よりはずっと塗りやすい塗料です。

  • トップコート1回目03
    トップコート1回目03

    トップコート1回目を全面に塗装しました。

  • トップコート2回目01
    トップコート2回目01

    この塗料も2回塗りつけますので、もう一度塗装します。

  • トップコート2回目02
    トップコート2回目02

    ここまでくれば塗装工事と変わりありません。ひたすら規定回数を塗っていきます。

  • 排水ドレンの金物01
    排水ドレンの金物01

    最後に排水ドレンの金物(蓋)を塗ります。

  • 排水ドレンの金物02
    排水ドレンの金物02

    金属ですので、錆びや藻を綺麗にした後錆び止め塗料で下塗りします。その後黒のタールエポという耐酸性に強い塗料で仕上げます。

  • 脱気筒の収まり
    脱気筒の収まり

    脱気筒用の蓋を被せて施工完了!中々理にかなった工法で、うまい具合に蒸気を脱気してくれます。これで膨れや浮きの防止に繋がります。

  • 施工完了01
    施工完了01

    以上、屋上防水の改修例でした。雨漏りする、防水がボロボロだ、そういった症状が出ましたらなるべく早く工事すべきと思います。なぜなら、コンクリート躯体を守っているのは他ならぬ防水材といっても過言ではないからです。

  • 施工完了02
    施工完了02

    コンクリートはアルカリ性なのですが、空気や水と反応して中性化してしまいます。そうなると骨抜きになったようにボロボロのコンクリートになり建物の強度自体も弱くなってしまいます。悪くすると強度を保っている”鉄筋”にまで悪影響を及ぼします。

  • 役物の施工前
    役物の施工前

    一度中性化したら最後、強度を維持する事は困難になります。RC造の建物は特に入念なチェックが必要とされます。

  • 役物の施工後
    役物の施工後

    中性化防止の塗料を塗る、屋上や外壁の防水状態を見る等の診断とメンテナンスは欠かせないものです。そしてそれこそが耐震問題解決の一つともなります。

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