外壁・屋根塗装で使う足場の種類と費用
結城 伸太郎
外壁塗装をするときに必ず使用される足場ですが、足場について詳しく知らない方もいるかと思います。
直接、塗装に関わっているものではありませんが、見積りの際には足場代も含まれるので、種類や費用について知っておくことは大切です。
このページでは、足場の必要性や費用、注意すべき点などについて紹介します。
足場の必要性
足場を設置する目的は、主に3あります。
まず一つ目は「安全確保のため」です。職人は高所で作業を行うので、安全を守ることが最大の目的となります。万が一、転落してしまうとケガや最悪の場合死亡してしまう危険性もあり、職人にだけではなく家主にとっても精神的な負担がかかります。
二つ目は「施工品質の維持」です。足場が無く安定していない状態で塗装をすると、均一に塗装ができなかったり、手が届かない部分も出てきてしまいます。
三つ目は「近隣とのトラブルを防ぐ」です。足場を組むことで養生ネットを張ることが可能になり、高圧洗浄の水や塗料が近隣へ飛散することを防ぐことが出来ます。
足場の種類と単価
坪(延べ床面積)2階建て | 足場面積 | 単価/m2 | 計(メッシュ別) |
---|---|---|---|
20坪 | 140㎡ | 650円~1,200円 | 91,000円~ |
30坪 | 190㎡ | 650円~1,200円 | 123,500円~ |
40坪 | 220㎡ | 650円~1,200円 | 143,000円~ |
50坪 | 240㎡ | 650円~1,200円 | 156,000円~ |
仮設足場についてはこちらもご参考ください
https://yuukisougyou.com/tosou/koutei/kasetsu/
■単管、単管ブラケット足場
単管足場は鉄パイプを組み合わせて建てる足場で、狭いスペースでも設置することができます。ただし、作業中は2本のパイプの上に足を乗せることになるので、足を滑らせてしまう危険性もあり、現在ではあまり使用されません。
複雑な形状でも自由に組み立てることが出来るのがメリットとなります。高さ制限は31メートル以下となっていますが、ブラケット一側足場となると15メートル以下となります。
■クサビ(ビケ)足場
クサビ(ビケ)足場は単管ブラケット足場と違い、板をボルトではなくハンマーを使用してしっかりと差し込み固定するタイプなので、最も安全性が高く作業しやすい足場です。現在、住宅では主流となっている足場ですが、組み立てる際はハンマーを叩く音が気になるかもしれません。
クサビ足場は、住宅にはとても適した足場ですが、ビルやマンションで31メートル以上の高さで設置する場合は、建地を2本するなど特殊な細工をしないと違法となるので注意が必要です(原則31M以下)。公共工事ではほとんど使われません。
■枠組み足場
足場の中では最も主流で特に大規模な改修では必須の足場です。枠部材と踏板、ブレース、手摺からなる部材で重ねるように組み上げていきます。高さ制限も45メートルと最も高く組み上げる事が可能です。安全性においても最も信頼性が高いですが、細かく複雑な個所では性能を発揮できません。
近年は次世代足場といって、ダーウィン、アルバトロス、ミレニュームなど各メーカー様々です。実際使用してみるとブラケットや余計な部材が無く作業性がとても良いです。
基本的に戸建ての施工には使いません。
■屋根足場
通常屋根の塗装には足場を使用しませんが、勾配が急な場合は安定した作業を行うことができないため、屋根足場と呼ばれる専用の足場を使用します。この屋根足場は外壁に掛ける足場よりも高額になります。
価格はあくまで目安ですが、上記の足場の種類と階層+設置期間によりかなり差があります。10階建てビルの枠組み足場だと2,000円/㎥程度となる事もあります。
こんな場合は足場の費用は高くなる
足場の費用が高くなるケースはいくつかありますが、例えば道路から家までに距離がある場合や、階段を登る必要があるときです。
このような条件では、車が現場に入ることができないので、足場を運ぶ時間がかかり費用も高くなってしまいます。
また、高層の建物の場合も必要な資材が増え、さらに設置や運搬の時間もかかるので、費用が高くなります。
マンションやビルの場合だけではなく、一般住宅でも2階建てと比べると3階建てのほうが足場代は高くなります。
前述の通り、足場の種類によっても金額が大きく変わります。高さや種類は建設業安全法令によりしっかりと決められているので、個人の勝手な都合で自由に選択できるわけではない事をご了承願います。
足場が無料と言われた場合は注意が必要?
業者の中には「足場を無料にする」と言い契約しようとする業者もいますが、このような場合は注意が必要です。
見積りだけ見れば安くなっている感じがするかもしれませんが、実際は他の項目に足場代を上乗せしている可能性があります。
また、ひどい場合は足場を無料にした分、塗料を薄めて使用したり塗り回数を少なくするなど、手抜き工事をされる可能性もゼロではありません。
足場を無料にするなどと営業トークを行う業者ではなく、きちんと適正な価格で塗装する信頼できる業者に依頼するようにしましょう。
まとめ
足場は職人の安全性の確保や施工品質の維持などを目的として設置されるため、外壁塗装おいて重要な作業と言えます。
費用が高くなるケースや「足場は無料にならない」ということを知っておき、見積もりを依頼した際の参考にしていただければと思います。