日本瓦の屋根は塗装が必要か?
結城 伸太郎
建物は日頃から紫外線や雨風の影響を受けており、特に屋根は劣化しやすい部位のため、色あせやひび割れなどの様々な症状が出てきます。
ただ、屋根材によってメンテナンス方法は変わりますので、このページでは、古くから使用されている日本瓦について紹介します。
日本瓦について
日本瓦とは、粘土で作られた瓦で「粘土瓦」や「和瓦」などとも呼ばれており、日本瓦の中でも「いぶし瓦」「釉薬瓦」「無釉薬瓦」の3種類あります。
日本瓦の一番の特徴は耐久性に優れている点で、紫外線や雨風にも強く強度もあるため、飛来物などで割れなければ100年持つと言われています。さらに、耐火性や防音性などにも優れています。
デメリットとしては、重量があるため耐震性が低い点や専門の技術が必要なので施工費用が高くなってしまう点です。
日本瓦の劣化症状
■瓦の割れ
強度はありますが、硬いものが当たったり、台風や竜巻などで飛来物が衝突した場合は、瓦が割れてしまうことがあります。
瓦が割れてしまうと隙間から雨水が浸入して、雨漏りが発生してしまう恐れがあるので、台風や竜巻が起こった後は瓦の状態を確認してみましょう。
ただし、屋根に登るのは危険が伴い、さらに瓦を踏んで割ってしまう可能性もあるので注意してください。
■瓦のズレ
瓦のズレは瓦を固定している漆喰が劣化している場合や、台風など強風を受けた際に発生することがあります。
放っておくと隙間から雨水が浸入したり、瓦がズレ落ちてしまう危険性もあります。
■変色
太陽光により色あせが発生し少しずつ見た目が悪くなっていきますが、瓦自体の耐久性は問題ありません。
■コケや藻の発生
立地条件によってはコケや藻が発生してしまうことがありますが、瓦に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。ただ、見た目は悪くなってしまうので、洗浄して綺麗にする必要があります。
日本瓦の塗装はオススメしない
釉薬が施された瓦や日本瓦は、塗装する必要がありません。釉薬の施されていないセメント瓦も塗装する必要は無いと思っています。
瓦は、その下地には土と杉皮があり、雨水は土が吸い込み広小舞へ排出する仕組みとなってます。塗装したからと言って、防水性能が向上するわけではありません。
あくまで美観のためならば塗装するのも良いのですが、20年以上経っているならば軽量化を目的として葺き替えた方が良いのかもしれません。
また、土ではなくルーフィングで防水層を形成していたとしても、雨水から守るのはこのルーフィングの役目なので塗装しても防水性が向上するわけはありません。
いずれにせよ、美観の目的で塗装する場合は、下地をしっかり確認し、密着するかどうか試験施工する事をお勧めします。
瓦の葺き替え費用
瓦の葺き替え費用としましては、瓦の撤去、瓦桟の交換からルーフィング下地、新設瓦までで30平米で100万円~150万ほど掛かります。
まとめ
日本瓦は耐久性や耐火性などが高く、状態が良ければ100年持つと言われており、日本で古くから使用されている瓦です。
ただ、飛来物が当たったり強風などの影響で、割れやズレなどが発生することがありますので、その際は専門の業者に相談しましょう。