塗装に必要な塗布量の計算方法
結城 伸太郎
塗料は種類ごとに、どれだけの量を使用するかの基準が設けられており、多くても少なくても不具合が起こる可能性があります。
このページでは、塗装面積に対して、必要な塗料と缶数の計算方法、使用量を守ることの重要性、悪徳業者の手口について紹介しています。
塗布量とは
塗布量とは、塗料の性能を発揮するために、どの程度の量を塗れば良いかを示した値です。
塗料メーカーから規定塗布量として、1平米あたりに使用する塗料の量、または、1缶当たりの塗り面積が示されており、サイトや塗料のカタログで確認することが出来ます。
規定塗布量を守られなかった場合は、塗膜の性能が発揮されないため、塗料の耐久年数よりも前に急激な色あせやヒビの発生などの施工不良が発生します。
計算方法
サイトや塗料のカタログに記載されている「使用量」と「1缶当たりの塗り面積」から、必要な塗料の量と缶数を計算することができます。
計算で出された数字は、1回塗るのに必要な量や缶数なので、中塗りと上塗りを行う場合は、2倍の量や缶数が必要です。
塗料によってこの塗布量は大きく違うため施工要領書や仕様書を良く読んで数量を出す必要があります。
■使用量を出す計算方法
「使用量」は、1平米の規定塗布量です。使用量に塗装面積をかけることで、必要な塗料の量を計算することができます。
仮に、使用量が0.11kgで塗装面積が150平米の場合、0.11kg×150平米で16.5kgの塗料が必要だと計算ができます。
ただし、下地が凸凹形状や波板屋根などは延ばした面積として計算しないと大きく狂ってしまいます。
■必要な缶の量を出す計算方法
サイトや塗料のカタログに「1缶当たりの塗り面積」が記載されている場合は、塗装面積を1缶当たりの塗り面積で割ると、1缶でどれがくらいの面積を塗ることができるかを計算することができます。
仮に、1缶当たりの塗り面積が136平米で150平米を塗装する場合は、150平米÷136平米で1.1缶必要だと計算ができます。
2回塗りの場合は、2.2缶必要ということになりますが、塗装工事の現場はピッタリ足りる事はほぼありません。足りないか余るかのどちらかになる可能性が高いです。
なぜ使用量に幅があるのか?
使用量は塗装面によって塗布量が変わるために、0.11~0.17のように幅があります。
意匠性の高いサイディングなどの凸凹が多い塗装面は、表面積が大きくなるため、必要な塗料も多くなります。また、劣化が激しい場合は塗料を吸うので、必要な塗料が多くなります。
錆止め塗料や外壁の下塗り材などは「膜厚」を確保するため比重も重く厚塗りの使用となっていますので、塗布量は上塗り材とは大きく差が出ます。
使用量を守らない業者に注意!
使用量を守らずに業者には注意が必要です。正しい使用量を守らなければ、塗膜が薄い、もしくは厚くなるため、塗料の性能を発揮することはできません。
悪徳業者は塗料を薄めて使う場合があります。塗料を薄めると、使用量よりも広い面積を塗装することができるだけではなく、薄めた塗料は伸びが良く早く塗ることできるので、工期を短縮して人件費を抑えることができます。塗料の購入料金と人件費を削減して、不正に利益をあげる狙いがあります。
こうした被害を防ぐためには、塗装面積に対して、必要な缶の数を仕入れているかを確認する必要があります。実際に塗料の缶を確認したり、メーカーからの出荷証明書で確認することができます。
ただし、施工開始から終了まで常に監視できることは難しいため、不正や手抜きを完璧に見破ることは難しいです。そのため、業者選びの段階で、信頼ができる優良な外壁塗装業者を選ぶことが重要です。
公共工事の場合は規定量の空き缶の数や面積と仕様によって事前に数量チェックされますので誤魔化しがききません。住宅だとしてもこのように事前に数量のチェックは必要なものと思います。
まとめ
塗料には適正な塗布量が定められており、範囲内でなければ、塗料の性能を発揮しません。使用量を守らない業者も存在するので、ご自身で塗料メーカーのサイトやカタログで計算し、確認することをオススメします。
ちなみにこの規定量以上の厚膜をつけすぎるとそれはそれで塗料の性能に悪影響を及ぼすこともありますので、塗りすぎにも十分に注意しましょう。