塗料の裏話
結城 伸太郎
シリコンと言っても各社メーカーそれぞれが販売している為、業界の人間ですらどこのメーカーが一番良いかなんてわかりません。ここでは、塗料に関する裏話を掲載しています。
目 次
裏話1.シリコン塗料だから10年持つ!とは言えない
シリコンと言っても各社メーカーそれぞれが販売している為、業界の人間ですらどこのメーカーが一番良いかなんてわかりません。カタログだけを鵜呑みにしているととんでもない結果になる事もあります。
当店は、一般の戸建てのみではなく大規模改修などにも携わっていますが、過去にこんな事がありました。
設計屋さんが低汚染塗料(汚れづらい塗料)の設計を組み塗装したところ、わずか3ヶ月で雨筋だらけ…。と言う結果になりました。大きな壁だけに大変目立っていました。
いくら耐久性の良いシリコンを使ったとしても3ヶ月で汚れる位なら良い塗料とは言えないんではないでしょうか?
ここで使用した塗料は低汚染であり、2液型のシリコンであり、弾性タイプのもの。標準通り3回塗りです。
他にもトタン屋根にシリコン塗料を塗装したところ、1年で剥がれることもありました。
なぜ、シリコン塗料を使ってしっかりと施工したとしても、このようなことが起こるのでしょうか?理由は2つあると考えます。
理由1.メーカーが発表している耐候年数はあくまで人工的な試験の結果
メーカーが発表している耐候年数は、サンシャインウェザーメーター試験というもので、被塗膜に人工紫外線の様な物を照射し続け約何時間光沢保持を得られるか?と言う促進試験の結果です。
しかし、この試験は雨も降らなければ雪も降りません。車の排気も汚れも付着しないので長持ちして当たり前だろう、と個人的には思っています。
先ほどの1年で剥がれた仕様は高圧洗浄~ケレン(目粗し)~エポキシ錆止め下塗り~シリコン塗装によるものでした。下塗りである錆止めはしっかり密着していましたが、上塗りが所々剥がれているのです。
点検に伺った時ははっきり言って施主様に合わせる顔がありませんでした…。勿論このあと無償で塗り直しましたが…。
理由2.同じシリコン塗料でも価格も配合率も異なる
シリコン樹脂は、市場で1キロ5,000円ほどすると言われています。安いシリコン塗料は1缶12,000円程度。安く仕入れればもっと安い販売店もあるでしょう。
シリコン樹脂塗料は、アクリル樹脂をベースとしたところが多く、「何%シリコンを配合するか?」で価格も耐久年数も決まってきます。たった1g入れてもシリコン樹脂塗料の完成です。
そのため、一括りでシリコン樹脂塗料と言っても、価格も耐久性も異なります。
同じシリコンなのに価格が倍以上違うとなると、安い塗料を使った方が施工単価も安く仕上がります。シリコンばかりではありません。ウレタンにしてもフッソにしてもメーカーで大きな差があります。
このように、安いシリコン塗料を使った場合、すぐに汚れてきたり、10年も持たないこともあります。
裏話2.自社開発のオリジナル塗料は、実はオリジナルではない
自社開発のオリジナル塗料は、実はオリジナルではないことがあります。
“OEM”と呼ばれる仕組みで、この場合の多くはラベルだけをオリジナルとし、中身は某メーカーの商品です。それを、塗装店の独自ネームで塗料を販売しています。「当社は独自開発のオリジナル商品で塗りますよ。しっかり持ちますよ。」こんな営業ありませんでしょうか?
塗料自体の値段も高くつけている為、塗料でも利益を出している事でしょう。と言っても全てを否定しているわけではないので、営業の一環として真面目に取り入れている業者もいるでしょう。
まとめ
何が一番正しいのか分からなくなってきますが、まず注意すべきは実績のある塗料が良いと言う事。たかがアクリルでもシリコン並みの耐久力を持った塗料だってあるのですから。あとは安すぎないシリコン塗料を選ぶこと。
メーカーだって商売ですから他社と同じく安く売りたいわけで、そうできない理由がコスト面にあるのでしょう。そうしたコストの掛かった塗料は本当に良い結果を出してくれます。
ちなみ当店では塗料の比較試験や実際に使ってみての感想などを社内で話し、自信を持ってお勧め出来る塗料を日々研究しております。
■ゆうき装業式-野外暴露試験(低汚染性比較試験)
https://yuukisougyou.com/tosou/rekka/yuki-test01/
■曽根塗装店式-野外暴露試験(低汚染性比較試験)
https://yuukisougyou.com/tosou/rekka/sone-test01/