山形県の屋根塗装に関するウラ話。屋根塗装はこの点に注意!
結城 伸太郎
山形県では「3年に1回の屋根塗装」や「ガルバニウム屋根なら塗装しなくても大丈夫」というような変な噂が流れてますが、これらは全部間違いです。積雪地域だとしても、しっかり塗装すれば10年は持ちますし、ガルバニウム屋根でも塗装は必要です。
このページでは、山形県でよく勘違いされる屋根塗装について説明していきます。
住宅の屋根材には、金属屋根(トタンやガルバリウム)、スレート屋根、日本瓦など、様々なタイプがありますが、山形県は雪が降るエリアなので金属屋根が95%です。
積雪がほとんどない地域では、薄型・化粧スレートが一般的。ちなみに、薄型・化粧スレートのことをカラーベストやコロニアルと呼びますが、実はこれは商品名です。
・カラーベスト:ケイミュー社が製造しているスレートのシリーズ名
・コロニアル:カラーベストの中の商品名
よく「うちの屋根はスレートじゃなくて、カラーベストです!」と言う方がいるので…。
目 次
山形県で主流な2種類の金属屋根の違い
山形県でよく使われる金属屋根の中には、代表的なタイプが2つあります。
・トタン屋根:鉄板を亜鉛メッキで覆ったもの
・ガルバリウム屋根:鉄板を55%アルミニウム含む亜鉛メッキで覆ったもの
です。ちなみに、鉄板をスズでめっき処理したものをブリキと呼び、雨樋などに使われます。
その他には、あまり使われませんが、銅屋根、チタン屋根、ステンレス屋根などがあります。
最近主流になるつつあるガルバニウム屋根は、トタン屋根よりも耐久性が高いですが、まだまだトタン屋根の住宅のほうが多いです。
「トタン屋根は3年に1回の屋根塗装」は間違い。1回の塗装で10年は持ちます!
山形県では「トタン屋根は1回塗りで3年ごとに塗り替える」という常識があるかもしれませんが、これは間違いです。全国的に見てもこのような認識がある地域はありません。
トタン屋根だとしても、ケレン(塗装面にヤスリで傷を付けて塗料の付着をよくする作業)をして、下塗り、中塗り、上塗りと3回塗りをすれば、10年以上もちます。もちろん、塗料のグレードにもよりますが、油性シリコン以上の塗料なら10年は持ちます。
なぜ「屋根は3年ごとに塗り替える」という間違った認識が広まったのか?40年ほど前に、まだアクリル塗料が高かった時代に「コールタール」という安い塗料を施主様が自分で塗るのが一般的でした。
その当時の塗料なので、耐久性も低くく「屋根は塗装しても3年でダメになる」という認識が広がりました。
その後、塗料の性能は上がってきましたが、通常3回塗りする塗料を訪問販売が「吹付けで1回塗り」の施工をしたため3年くらいしか耐久せず「屋根は3年ごとに塗り替える」という認識が残りました。
このような業者の施工費用は、足場なしで10万円くらいが相場みたいですが、10年で3回屋根塗装すると30万円になります。そのため、1回の塗装で10年持つようなしっかりとした塗装をしたほうが、長い目で見ると安上がりです。
「ガルバニウム屋根は塗装が必要ない」も間違い。12~15年に1回は塗装が必要
よく「ガルバリウム屋根は塗装しなくてもいい」と変な噂が流れてますが、これも間違いです。
ガルバリウム屋根は、亜鉛メッキにアルミニウムが55%ほど含まれているだけであり、純粋なアルミではありません。また、屋根材として売られているガルバリウム屋根には、製造の段階で塗装されています。
そのため、紫外線を浴びることにより、塗料の膜が持つ「耐候性(紫外線による自然劣化から守る度合い)」が失われてきます。新築後12~15年ほどすると、このような塗料が持つ機能が無くなります。
特に山形県は雪が積もる地域なので、積雪や滑走により屋根材の表面が傷つき、雨や酸性雨により深く浸透し錆が発生します。特にハゼや折り曲げ部は進行が早くなります。そのため、ガルバニウム屋根でも塗装は必要です。
よく「錆びから守るための塗装」と言われたりしますが、厳密には紫外線から守るための塗装と言った方が正しいです(笑)
その他の金属屋根(ステンレスやアルミ、銅)の塗装について
ステンレスやアルミ、銅は、塗装しなくてもいい金属なので、特に塗り替えを必要としません。
神社仏閣の屋根は、銅が多いのでほとんど塗り替えることはしません。もし山形県の屋根が全て銅板だったらペンキ屋さんは要らなくなりますね(笑)
しかし、塗装ができないわけではありません。
弊社でも実際に
・どうしても色を変えたい
・遮熱効果や雨音を小さくするような特殊塗料を塗りたい
という要望があり、塗装をしたこともあります。最近はガイナをはじめ、様々な特殊機能を持つ塗料が増えてきたので、このような依頼を増えてきています。
ステンレスやアルミ、銅に塗装する場合は、特殊なプライマー(下塗り材)が必要になります。
そのことを知らないで塗装をすると、3年も経たずに塗膜がバキバキに割れてしまいます。これは単に密着不良なだけです。
トタンとステンレスやアルミの違いがわからない業者が塗装した現場を見ると、このような初期不良が見られる場合があるので、注意が必要です。
実は、トタン、ガルバリウム、ステンレス、アルミ、銅などは、塗装すると外観からではどの素材なのかプロでも判断できなくなります。
そのため、私は現地調査の際に磁石を持っていきます。屋根材に磁石を近づけ付けば、トタンかガルバリウム。付かなければ、ステンレス、アルミ、銅などの非金属と判断しています。
まとめ
このように、トタン屋根だとしても下地処理をしてしっかり塗装をすれば10年間はもちます。
最近は10年以上前に施工したお客様からリピートで再塗装の依頼が増えてきました。これは本当に嬉しく思います。「屋根塗装で10年持たせた」という自信にも繋がってます。良い塗装⼯事は、良い工法と良い塗料と魂の入れ方!であります。
今後主流になるガルバリウム屋根の新築は、10年経ってから焦って塗るという必要はありません。10年経ったあたりから、業者さんに見てもらって、数年後の塗り替えのための準備をしておくのがよいのではないでしょうか。
ちなみにゆうき総業のお客様のほとんどは、見積もりして即塗り替えする事より、2、3年後に塗る方が多いです。